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「…もう時間も無いな。早速始めよう。
君は列の最後尾で、速度を合わせて歩いてくれれば良いよ。
もしかしたら神社の中に入ったら色々と手伝ってもらう事があるかもしれないけど…」
「は、はいっ!頑張りますっ!」
「…あと」
「?」
「…出来れば、その猟銃は置いて行ってくれないかい?
…婚礼の儀には不釣り合いな代物だし」
「も、勿論ですっ!」
その婚礼の儀は、人のそれとは違う…まるで神秘的な儀式を見ている様だった。
姉さんはこの神社の神主が差し出した盃に一度口を着け、そして飲み干す。
その瞬間、姉さんの頭からは狐の耳が、腰からは狐の尻尾が生えて。
姉さん、神様に…人間じゃなくなっちゃったんだ。
…なんて思うより先に思ったのは、狐の耳と尻尾の生えた姉さんが、綺麗ではなく可愛いになったなぁという事だった。
嬉しそうにピコピコ動くその姿が、とても可愛らしい。
そして婚礼の儀が終わった後に待っていたのは、どんちゃん騒ぎの宴会だった。
大多数の狐が人間の姿を保つ事が出来ず、狐の姿になってとっくりから直に飲んでいる。
特に姉さんの酒乱が一番酷い。ハクコ様の口にとっくりを押し込んでどんどん飲ませてる。
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