第1章 捕食者との遭遇

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第1章 捕食者との遭遇

2521年現在――。人類は地下のコロニーに隠れて生活している。 “ビースト”と呼ばれる生物が隕石と共に地球に舞い降り、地上を支配してから、もう200年がたった。人類は人工太陽で野菜を育て、地下水を飲み、地熱と太陽光でエネルギーを得て生活している。科学技術は進歩したが、テクノロジーを扱えるのは一部の人間だけ。ほとんどの人間が管理され、配給される食料で生きながらえていた。  今、私が帰還しようとしている、コロニー(エイト)も、その一つ。 セナは物思いにふけり、俗に“駅馬車”と呼ばれている、装甲で覆われた蒸気機関車の座席で揺られながら、地上の鉄道を高速で移動していた。 セナという少女の年格好は、17,8歳というところで、髪は少し油気のないブロンド。瞳は緑で人懐っこく、顔立ちにはまだ幼さが残っている。しかし、痩せ形だが、軍用ベストの両端から覗く腕には、ほどよく筋肉が付いていた。格好こそ軍人のようではあったが、彼女は軍に所属していない。それは、彼女の養父が軍への入隊を断固拒否したためであった。 「つまんない」     
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