グッバイ・ワールド

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 勢いだけじゃない、みーのことは本当に好きだった。告白も元々したいと思っていた。別れる前に、最後に。  だから、仁礼さんとみーの関係は気になる。もしかしたらあれがDVってやつなのかもしれない、と冷静になった帰りの電車の中で気がついた。  あのとき俺は「みーを助けなきゃ」とか思ったけど、一晩経ったらそれは傲慢なんじゃないかと思えた。仁礼さんがわけもなく暴力を振るうとも思えない……やっぱり思いたくなかった。もしかしたらみーは前に浮気をしていてそれもあって怒ったのかもしれない、なんてことも考えた。もしそうなら、完全に二人の問題だ。俺が入り込む余地はやっぱり無かったんだと思った。  みーの震える身体を間近で見たくせにそう思ってしまうのはみーが本気で拒絶しなかったからだ。片想いしていたといえどただの同期……しかも新しい社会に出ていこうとする立場の人間に口出しする資格は無い。たとえそれが一般的な正義だったとしてもあの二人の世界では……みーにとっては正義ではない。だから、これでいい。  薄情だと非難されるだろうか。  でもこうするしかないんだ。
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