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きまぐれ神様は、好青年の行く末の見守った。そして、見届けた。
「神様! やったじゃない! まさか、あの悪徳中年の悪事を、あの好青年が暴いて、美少女と結ばれるなんて、まさにドラマチックな展開じゃない。女神のわたしでも憧れるわ!!」
「まぁ、調子に乗ってる時こそ、隙が生まれるもんだし、油断してくれるとは思っていたが、好青年もよく頑張った!!」
神様と女神様は好青年の頑張りを褒め称えていた。ついでに、悪事を暴いた好青年に神様は恩恵を与えていた。
「あのー、失礼します」
そんな時、天使の少年がやってくる。
「誰だ、こいつ?」
「あー、この天使君は、神様の付き人に任命されたの」
その天使が、おどるおどる頭を下げる。
「神様、見習い天使です。よろしくお願い致します」
「ん? 見習い? ちゃんとした天使を連れて来いよ」
その言葉に怯える天使少年。
「神様、本当に勘だけは鋭いわよね。その天使、天使になれないまま見習い天使を続けてる天使なのよ」
「完全に落ちこぼれじゃねぇか」
更に怯えて返す言葉が出て来ない天使少年。
「まぁ、いい。よろしく頼むぜ。落ちこぼれ天使」
「はい。神様。落ちこぼれ天使ですが、よろしくお願い致します」
礼儀正しく頭を下げる天使少年。
「じゃあ、よろしくね、落ちこぼれ天使君」
「はい。女神様」
こうして、きまぐれ神様と落ちこぼれ天使君の共同生活が始まった。
ある日、落ちこぼれ天使君がいない時に女神様が神様に質問した。
「ところで、どうして、落ちこぼれ天使君を受け入れたの? 絶対、拒否すると思ってたのに」
「ああ。良い風を感じた時こそ、油断してはならない。どう考えても、落ちこぼれなんて受け入れるなんておかしいだろう? でも、こういうマイナス要素は受け入れた方がいいんだよ。何事もバランスが大事だからな」
その言葉に女神様は、何となく理解したようだった。心の中で、何か間違っていると思いながら。
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