③『人間の願望』

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 きまぐれ神様は、本日も下界の人間達の生き様を眺めていた。そこに姉である女神様が、ちょくちょくやってくる。 「ねえ、神様? この前、恩恵を与えた女性の幼馴染には恩恵を与えないの?」 「あの好青年には魅力を爆発させる恋心を秘めている。だが、それに気付けないようでは、恩恵など与えても本人のためにはならないし、恩恵によって道を間違える人間もいる」 言うまでもなく、この好青年は、幼馴染の女性に恋をしている。そして。その女性も満更ではない。しかし、二人に格差があるとすれば、ほんの小さな貧富の差だろう。 「でも、凄く頑張ってるじゃない。多分、お互いの事を同等と思っていれば、必ず、二人は良い人生を歩めるわ」 「そう思うようになるまで、見守るって事も一つの選択だ。自身の世界観から飛び出すのは、頭で考えるよりもパワーがいるし、すぐに本来の世界観に戻ろうという防衛本能が働く。自身の世界観を変えるには、並大抵の行動力がなければ成し得ない。もちろん、そういう大きな事象に巻き込まれる事もあるが、もし、小さな事象で世界観が変わる人間がいたとしたら、それは、元々持っていた世界観の幅が見えるようになっただけの話。まぁ、人間の大半は、その世界観から抜け出す事はできないし、抜け出そうと思う時期はあっても最終的には抜け出さない道を選ぶ」 神様が言う世界観とは、その人間が行動可能な生活領域の事である。つまりは、持って生まれた生活領域は、並大抵の事象がなければ変わる事はない、という話である。 「そこを恩恵で手助けしてあげればいいじゃない」 「そういう大きな願いは、自分自身で叶えなきゃ意味がないんだよ。そこに、大きな自信と大きな魅力が生まれるんだからな!!」 きまぐれ神様は立ち上がり熱弁する。 「なんだかんだで、ちゃんと考えているのね。考え方は、どうかと思うけど」 「まぁ、大ピンチになったら助けてやらんでもないがな! ははははは!!」 褒められて有頂天になる神様。そして、今日も一日が過ぎていく。
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