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そう、これは秘密の恋でした。秘密と言う言葉に、人間は惹かれます。秘密であればある程、その恋は燃え上がるのです。悪魔との恋愛は、とても重大な秘密で、秘密と言うより、「禁忌の恋」と言う方が正しいのかもしれません。
悪魔に恋をしてから、一か月程が経ちました。いつものように悪魔が訪ねて来るのを、心待ちにしていました。そして、その日は忘れられない特別な日となるのです。
今日はどんな素敵な物を持って来るのだろうか?そんな事を考えながら、玄関で悪魔が来るのを待っていました。するといつものように、呼び鈴が鳴ります。私は笑顔でドアを開けました。ドアを開けると、優しい笑顔を浮かべた、悪魔の姿がありました。しかし、今日は何も持って来てはいないようでした。それでも私は構いませんでした。悪魔が私に会いに来てくれるだけで、とても嬉しかったからです。
いつものようにソファーに座り、紅茶を啜っていると、突然悪魔は立ち上がり、私の前で膝をつきました。そしてどこからともなく、一輪の真っ赤な薔薇を差し出してきたのです。以前にも、同じ事があった事を思い出します。その時は、プロポーズをされました。その事を思い出すと、胸が高鳴ります。
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