3/7
前へ
/13ページ
次へ
 それから私は、悪魔と色々な事を話しました。好きな物や、嫌いな物。得意な事や、不得意な物。気づけば私は、教会へは行かなくなり、悪魔とお喋りばかりしていました。それがとても楽しかったのです。  あれ程までに神を愛し、祈り、称え、信仰していたにも関わらず、今やそんな事に興味は無く、あれ程までに敵視し、嫌っていた悪魔に、興味を注がれていました。  悪魔と話をすればするほど、惹かれて行きました。悪魔は今までに体験した面白い話や、楽しかった話。時には悲しいお話も聞かせてくれました。様々な話をしている時の悪魔は、とても無邪気で愛らしかった事を覚えています。  悪魔は私を喜ばせる事が、とても上手でした。今私が何を食べたいと思っているのか、今私は何が欲しいと思っているのか、心でも読んだかのように、毎回私の求める物を、持参して来たのです。  私達は互いを求め合いました。恋はした事はありましたが、悪魔との恋は特別でした。一緒にいるだけで鼓動が早まり、温かい気持ちになり、自然と笑みがこぼれました。その時は、とても幸せだったと思います。  私が悪魔に恋をしている事は、母以外は全員秘密でした。祖父母は勿論、近所の人達にも知られてはなりませんでした。皆信仰心が強い、クリスチャンばかりだったからです。以前の私の様に。もし知れたら、どうなるか分かりません。昔の魔女裁判の様に、火炙りにされてしまうかもしれません。     
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加