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 悪魔と出会ってから、一か月が過ぎました。相変わらず私は、一人で教会に通っていましたが、悪魔が言っていた言葉が頭から離れず、説教をする神父様を、疑いの眼差しで見てしまう事が、度々ありました。それでも教会に通い続けていたのは、神を愛していたからです。  神を愛している。そんな私にプロポーズをしてきたのは、よりによって神の敵である、悪魔でした。  悪魔は毎日のように、私の家へと尋ねに来ました。ある日は焼き立てのアップルパイを持って来て。ある時は豪華な花束を持って来て。家に来る度に、何か手土産を持って来ていました。  悪魔が家に来ると、母は嬉しそうに招き入れ、紅茶を出していました。私はと言うと、神に心を捧げている身でありながら、悪魔などとは親しくなれないと、部屋に閉じこもり、悪魔を追い払うよう、神に祈り続けていました。     
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