うさぎとかめ

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うさぎとかめ

気が付くと、僕はベットの上に横たわっていた。 薄暗く、周りはフェンスで囲まれている。 あれ、ここはどこだろう。僕は確か、すでに死んでいるはずだが……。 息を吸ってみると、少しかび臭い匂いをともに肺の膨らみを感じられた。 起きあがり、身体にどこか異常がないか確かめたが問題はなさそうだ。 ここが死後の世界なのだろうか。だとすれば、こうして自分の存在を認識できるのはどういうことだろう。 ふと、ベットから2メートル程離れた地面に、一筋の淡い光が差していることに気が付いた。 僕はその光源を頼りに、ゆっくりと坑道のような緩い上り坂を進んだ。 しばらくすると、1枚の扉の前に行き着いた。隙間から明りが漏れている。僕は静かに中に入った。 そこには金網に囲まれた四角い空間があった。真ん中には1本の白熱灯が釣り下がっていた。その下に雀荘に置かれているような緑色のマージャン台が置かれている。 その台を挟み、うさぎとかめが向かい合って座っていた。右にかめで左にうさぎだ。 右のカメは、逆三角形を2つ並べたようなサングラスを掛けていた。葉巻を燻らせながら、大きな甲羅が光を反射させている。     
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