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「この初仕事次第で俺らの護として真価が問われるんだ」
「今回の仕事は腕試しって事か?」
「そういう事」
膝上まで伸びている雑草をかき分け歩くこと数時間
「見えたぞ」
前方にようやく建物の屋根らしきものが見えた
「あれか?」
そこには古い社が1つポツンと建っていた
近づくと社の周りだけは雑草が綺麗に刈られている
何年も人手が入らなかったはずの社本体も思ったより小綺麗だ
「思っていたより酷くはないな」
「もっと荒れてお化け屋敷か、と覚悟してたけどな」
公俊の後に続いてリウも社に入る
壁や床はそれなりの年月を経た様子みられるが、埃等は拭き取られ障子や襖の張り替えもすんでいた
「誰かが先に来て俺らが住めるようにしといてくれたのかな?」
掃除だけでも数日かかる覚悟をしていたのでこれは助かる
先ずは社を一部屋ずつ確認して回る
玄関を入ると一続きの廊下
突き当たりにある戸は廁らしい
右手は表を見渡す窓、草が刈られた範囲がちょうど良い小庭みたいになっている
左手には玄関側に床の間、隣が畳の和室になっている
寝るのはこの部屋になるだろう
和室の障子戸を開けると、そこには先客がいた
「ようやっと来たか!」
遅い、と怒気を含ませた声をぶつけ、背を向けていた白い毛玉がゆっくりと振り返る
「双葉?」
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