妖しの護

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もう少し考えさせて と言って、直輝は家に戻って行った 「分かってもらえたと思うんだけど、どうかな」 「とにかく、今日はもう動きようねぇな」 ならば、自分達がここにいると変なプレッシャーになってしまう 「1度帰るか」 「ああ、明日の朝また来りゃあ良いか」 直輝の部屋をもう一度見上げ、社に戻る事にした 「よぉ、どんな感じだ?」 社に入るやいなや、かけられた声に公俊とリウは固まった 「なんか進展があっただろうな?」 否、という答えを認めない鋭さを持つ 「双葉」 「来てたんか?」 「定期的に来るっつっといたろうが」 自分で積んだのだろうか、重ねた座蒲団の上に腕組み足組をして座している 公俊とリウはその前に座る 「とりあえず、海ん坊の居場所は分かった」 「ほう」 「海ん坊と一緒にいる子供とも会って話もした」 双葉の眼が微かに緩くなった 「よくやったな、おめぇらにしちゃあ上出来だ」 双葉も、この進展具合いに満足気に首肯く 「なら、無事に海ん坊を帰せるんだな」 「あ、うん・・・」 「なんだ?」 言葉を濁した事を受けて双葉の緩みが消えた 「なんか問題でもあるのか?」 「問題ってか、どうにかしてやりたいってか」 「おい!」     
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