妖しの護

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「さて、公俊」 双葉がリウを追い出したのは直輝への監視だけが目的ではなく、公俊とサシで話をするためだった 「おめぇ、自分がどういった立場なのかちゃんと分かってんのけ?」 「双葉」 「今、村にゃあ護となれる者がだいぶ少なくなってきちまった」 「分かってる」 「桔梗は始め、おめぇを護にすんのに躊躇しとったのに、今回護にしたんは海ん坊の保護に向かえる護がいなかったってのもある」 それも知っている 「妖かしの保護が難しくなってきてんだ」 護の1人1人の担当地区の拡大と保護量の増加 昔に比べ、妖かしを見たり感じたりできる人間は格段に少なくなっているが、それゆえに古来から続けた人間と妖かしとの関係性が歪んできた 「おめぇももう護だ、勘だとか思っただけなんざ通用しねぇんだ」 護として資質を問われた公俊とリウ 能力ではない 対象者に感情を移入し過ぎるのだ 「桔梗が気いもんだ通りの事やらかすとは」 双葉はハア、と息を吐く 「他人の感情に思い入れるのが悪ぃつうこんじゃねえ、それが役に立つ事だってある」 相手の行動を読むのには便利な性格だ 人を信用するのも、その相手の信頼を得られる近道だ     
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