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「あ…長谷さん!おはようございます」
ラッキーなことにロッカールームには長谷さん以外誰もいない。笑顔を隠さずに近づくと、長谷さんは相変わらずの無表情で挨拶を返してくれた。
「おはよう」
「長谷さん昨日結局、映画観ました?」
「観てたけど、途中で寝た…ふぁ」
「さすが早寝早起きがモットーのおじいちゃん」
「誰がおじいちゃんだコラ」
あくび!かわいい~!そんで怒った顔もかわいいなあ~とニヤニヤしていたら、誰か入ってきた。くそ、せっかく二人きりだったのに、誰だよ…。
「げ」
「おはようございまぁす…あ!長谷さんだ!おはようございますっ」
「空。おはよう」
よりにもよって空かよ!長谷さんを見た瞬間あざとい笑顔で走り寄ってきた。長谷さんも空には笑顔だし!!つーか俺のことは無視かよ!
「おい!俺もいるんだけど」
「あ、こーき。ごめんね、長谷さんに会えたのが嬉しくて…おはよう」
「空、今日は寝坊しなかった?」
「はい!眠かったけど、長谷さんがいると思って頑張って起きました!」
「そっか。えらいえらい」
「ちょ…っ長谷さん!空に甘すぎません!?俺も毎朝寝坊せず頑張ってるんですけど!!」
「あーソウデスカ」
「冷たっ!?」
空が頭を撫でられながら笑う。くそ…この腹黒が!
着替え終わった俺は、長谷さんの分の道具も抱え、あいた方の手で長谷さんの手を握った。
「じゃ、俺ら着替え終わったから。長谷さん、ストレッチ行きましょう!」
「えっ、あ、空も早く着替えて来いよ」
「はーい!」
心の中で今日も誓う。
長谷さんは、誰にも渡さない!
【#1 王子と鈍感と腹黒】
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