#1 王子と鈍感と腹黒

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「あ…長谷さん!おはようございます」  ラッキーなことにロッカールームには長谷さん以外誰もいない。笑顔を隠さずに近づくと、長谷さんは相変わらずの無表情で挨拶を返してくれた。 「おはよう」 「長谷さん昨日結局、映画観ました?」 「観てたけど、途中で寝た…ふぁ」 「さすが早寝早起きがモットーのおじいちゃん」 「誰がおじいちゃんだコラ」  あくび!かわいい~!そんで怒った顔もかわいいなあ~とニヤニヤしていたら、誰か入ってきた。くそ、せっかく二人きりだったのに、誰だよ…。 「げ」 「おはようございまぁす…あ!長谷さんだ!おはようございますっ」 「空。おはよう」  よりにもよって空かよ!長谷さんを見た瞬間あざとい笑顔で走り寄ってきた。長谷さんも空には笑顔だし!!つーか俺のことは無視かよ! 「おい!俺もいるんだけど」 「あ、こーき。ごめんね、長谷さんに会えたのが嬉しくて…おはよう」 「空、今日は寝坊しなかった?」 「はい!眠かったけど、長谷さんがいると思って頑張って起きました!」 「そっか。えらいえらい」 「ちょ…っ長谷さん!空に甘すぎません!?俺も毎朝寝坊せず頑張ってるんですけど!!」 「あーソウデスカ」 「冷たっ!?」  空が頭を撫でられながら笑う。くそ…この腹黒が!  着替え終わった俺は、長谷さんの分の道具も抱え、あいた方の手で長谷さんの手を握った。 「じゃ、俺ら着替え終わったから。長谷さん、ストレッチ行きましょう!」 「えっ、あ、空も早く着替えて来いよ」 「はーい!」  心の中で今日も誓う。  長谷さんは、誰にも渡さない! 【#1 王子と鈍感と腹黒】
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