#1 王子と鈍感と腹黒

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 ちょっと聞いてくれ。俺、高良 煌生(たから こうき)の最近の悩み…つうか愚痴。  俺は今同じ部活の先輩に絶賛片想い中。その先輩っていうのがこの美人、長谷 真理(はせ まこと)さん。初対面のときマリさんって読んじゃって怒られたんだけど、まあそんときに一目惚れしたわけよ。  でね、超鈍感なこの人に俺は毎日毎日アピールしまくって取り敢えず仲よくはなってきてる(はず)…なんだけど、邪魔者発生。  それが同い年の峰 空汰(みね そらた)!コイツ、やたら愛想売ってんなーって思って見てたら、ある日突然俺と長谷さんの間に割って入ってくるようになった。しかも長谷さんは空を可愛がるし、俺には素っ気ないしで意気消沈…することなく、長谷さんを振り向かせるべく日々猛進中! 「長谷さん!今朝ぶりです」 「おう。…それ、何持ってんの?」 「お菓子。期間限定って書いてたから…長谷さんにあげる」 「…女子に貰ったんだろ?」 「え、違いますよ。購買で昼飯買うついでに買ったんです。長谷さん好きそうだと思って」 「ふぅん。まあ、そういうことなら貰うけど」 「どうぞ!」  ぶっきらぼうな癖に耳を少し赤くして受けとる。そういうとこが可愛くてたまらない。 「どうスか?」 「んまい」 「ふふ、よかった」  笑うと、顔を背けられた。照れ屋さんだなあ、そんなとこも可愛いけど。 (長谷さん顔赤い…)  二人の背中を眺める。俺はパッと笑顔を作って、いつも通り二人の間めがけて駆け出した。 「長谷さん!」  そんな顔しないで。俺の方も向いてよ。
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