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何の神様になろうか。
その悩みはこの国のほとんどの国民が抱えている悩みだった。
「北村くんはまだ何の神様になるか決まってないの?」
悩んでいた僕に声をかけてきたのは、同級生の悠木さんだった。
決まってないよと応えつつ、悠木さんに問い返してみる。
「悠木さんはもう決まったの?」
「うんにゃ。まだ決まってなーい。猫好きの神様になりたかったけど、もう神様いるしにゃー」
そうふざけて、彼女は猫みたいに笑う。
猫が好きだと公言し、いま持っているカバンにも猫のキーホルダーやらなにやらがたくさんついている。自他共に認める猫好きさんなのだ。
実家ではたくさんの猫を飼っているというし、猫好きの神様になる資格はあると思うけど、先に神様がいると神様にはなれない。
「うーん。確かいまの猫好きの神様って二代目だし、仲良くなっておけばいつか神様を譲ってくれるんじゃない?」
神様は辞めることが出来る。その際には後任となる人を指定することが出来るので、上手くすれば次の神様になることは出来るのだ。
「それもありかなぁ、とは思ってるんだけどね-。でもそうなるといまの神様が飽きるまで待たないといけないから。それはやだなーって」
「そんな駄々っ子みたいなことを……」
気ままな猫っぽくて彼女らしいと思ってしまうのだけど。
僕は少し考えた後、こう提案してみた。
「それならさ、逆に『猫嫌いの神様』になるのはどう?」
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