神様になろう!

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 何の神様になろうか。  その悩みはこの国のほとんどの国民が抱えている悩みだった。 「北村くんはまだ何の神様になるか決まってないの?」  悩んでいた僕に声をかけてきたのは、同級生の悠木さんだった。  決まってないよと応えつつ、悠木さんに問い返してみる。 「悠木さんはもう決まったの?」 「うんにゃ。まだ決まってなーい。猫好きの神様になりたかったけど、もう神様いるしにゃー」  そうふざけて、彼女は猫みたいに笑う。  猫が好きだと公言し、いま持っているカバンにも猫のキーホルダーやらなにやらがたくさんついている。自他共に認める猫好きさんなのだ。  実家ではたくさんの猫を飼っているというし、猫好きの神様になる資格はあると思うけど、先に神様がいると神様にはなれない。 「うーん。確かいまの猫好きの神様って二代目だし、仲良くなっておけばいつか神様を譲ってくれるんじゃない?」  神様は辞めることが出来る。その際には後任となる人を指定することが出来るので、上手くすれば次の神様になることは出来るのだ。 「それもありかなぁ、とは思ってるんだけどね-。でもそうなるといまの神様が飽きるまで待たないといけないから。それはやだなーって」 「そんな駄々っ子みたいなことを……」  気ままな猫っぽくて彼女らしいと思ってしまうのだけど。  僕は少し考えた後、こう提案してみた。 「それならさ、逆に『猫嫌いの神様』になるのはどう?」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加