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私の神様
ある朝、橋の上で、神様を拾った。
大きさは幼稚園の子供くらいで、頭のてっぺんに3本とさかが立っている。赤い手袋と靴を履いている以外は、体中が金色をしている。顔の真ん中には大きな目玉が一つ。目が合うと、そのまま捨て猫のように私の後をついてきた。
最初はそれが何なのかわからなかった。神様なんじゃないかと思ったのは、その日の夕方、お局の重田さんに書類のミスでグチグチ言われていたとき。
「これさあ、前も言ったと思うんだけど……聞いてなかったかなあ? あ、私の説明が悪かったとか? そういうのさあ、困るんだよねえ……あいた!」
重田さんが突然声を上げたので、そっと顔を上げてみると、右足を上げてけんけんしていた。
「やだ、なに。いたい」
重田さんはそれっきり、私のミスのことなんか忘れたみたいに靴を脱いで足の指を調べ始めたので、私はこっそりデスクに戻った。椅子の後ろにさっきの金色のやつがいて、重田さんの右足の小指に向かって目玉から黄色いビームを出していた。これはまずいとあわてたが、誰も気がついていないようだった。
その夜、当たり前のようにその神様は家までついてきた。
「さっき、重田さんに仕返ししてくれたの?」
聞いてみたけど、だまってそのぎょろりとした目で見つめるばかりだった。
「神様なの?」
試しにそうも聞いてみたけど、やっぱり返事はなかった。
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