もしもしカメよ!

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 頭が黄土色っぽいイシガメは両手両足をくいくい動かし底へぐぐぐっと潜った。イシガメというのは僕のことだ。僕は水の中ですれ違う魚にペコッと頭を下げ、悠々と水の中を泳いだものの何げに女が気になりくるっと向きを変え、「どっこいしょ」と、地面へ上がった。 「あれ? ベンチにいない。女はどこへ行ったんだ」  僕はじっとして目だけキョロキョロさせた。と、その時、頭の上に影ができ背後から人の気配を感じたものの、時既に遅く僕は宙に浮き高い場所から地面を眺めてた。
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