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「かっちゃん! イシガメ見つけたーっ!」
小学2年生の達也は、頭の上へたかだかと上げた。友達のかっちゃんはアメンボ探しをしてたものの、すぐさま達也へ視線を向けた。
「すっげー!」ピーンと張った声は池を超え反対側で得意げな顔した達也へ届いた。彼は「ニカッ」と、した。
「見せて、見せて!」
かっちゃんはたったと走った。
「この池でイシガメ見つけると、いいことあるってさ」
かっちゃんは、雲まで届きそうな声で叫んだ。
「しってる、しってる! だからお小遣いがたくさん増えますように」二人は大はしゃぎしながら、カメを観察した。
「ねえ、かっちゃん。学校の先生がね。カメ見つけたら、本当に恋人ができたんだって」
「すっげーっ! イシガメさまは神様じゃーん」
その頃、女はどっぷり哀しみにつかり、俯きながらとぼとぼ歩いてたのだけれど、小学生の声に、ピクンと反応し早歩きで池へ戻った。女はただ小学生を眺めた。
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