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カードを見る限り、名前は【さざなみあかり】と書かれているのだが、肝心の住所が書かれていなかった。これでは探しようが無い。
「そういう時はな? こうするのじゃ」
美十妃はそのカードに念じるように力を込めると、急にカードから光が発し、一本の光が外のほうへと伸びていった。
「どうじゃ!」
「これはなんだ?」
「わらわの神通力じゃ! 便利じゃろ?」
美十妃はえっへんと胸をはる。神通力便利すぎだろ。
「力の戻ったわらわは何だって出来るぞー。参ったかー」
そんなにバンバン神通力使ったらまた降格させられるんじゃないかと俺は内心心配している。
「それじゃ、行くぞー」
美十妃は俺の手首をむんずと掴んだ。
「え、ちょっ」
「全力ダッシュじゃー!!!」
美十妃はまるで陸上選手かのような速さで走り出す。
「ま、まって、ギャーーー!!!」
町役場内では俺の悲鳴が木霊したのはいうまでもない。
「着いたぞ」
美十妃がやっと走るのをやめたのは三ツ時町内にある児童公園だった。
「あそこに居るのがそうじゃなー……、ってみっちーもうバテたのか。情けないのぉ」
児童公園の地面と同化するかのように地べたに這いつくばっている俺をみて、美十妃は呆れた表情を浮かべた。
「仕方ないだろ? 俺は一般男性より貧弱なんだから」
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