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人間にはもつことのできない、誰よりも水華が恋する切れ長の双眸。
それはまるで、無慈悲な月のように冴え冴えとしている。
「雨じゃないと力が……」
呟く声は、龍琉が重ねた唇の中に吸い込まれるように儚くなった。
「今日はずっと一緒にいられるよ」
囁かれた甘い吐息を間近に感じながら、水華は息苦しいほど切なくなってかすかに頷いた。
「じゃあ、ずっと雨……?」
「嫌?」
頭をふって、至近距離の銀色の目の奥を見つめた。
燃え盛る青白い炎がちらりと見えた気がした。
水華は背筋を走った戦慄に身を震わせて、身を乗り出して龍琉の首に腕を回した。
「ずっと降っててほしい……」
囁いた言葉をまたすくい上げるように、龍琉が水華の顔を両手で包み、引き寄せた。
水華は静かに目を閉じた。
雨を抜けてきたはずの龍琉の体は濡れたようにひんやりしている。
でも、傘をさしてもいなかったのに、濡れてはいない。その体温が心地よくて、水華は全身から力を抜いた。
龍琉が連れてきた雨の音が、より激しくなっていた。
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