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雨、雨、降らせよ、雨、降らせ。 龍國の娘がうしろを苗床に、 咲かしゃんせ、緋の花ぽつり。 喜び狂う八龍の、龍神招ばう謡うたい。 雨、雨、降らせよ、雨、降らせ。 緋の花咲いたら、龍神様のご降臨。 さあどちらの花を摘みましょか。 真黒き幸いもたらす闇の花。 真白き幸いもたらす光の花。 闇の花摘みたきゃ、花喰わしゃんせ。 光の花摘みたきゃ、(欠落)。 されど、よくよく構へ。とく構へ。 芳しき緋の花徒花毒の花。 望まれぬ手が摘んだが最期の雨障(あめつつみ)。 獄に繋がる哀しき野辺で狂い死に。 骸のそばに、血の雨濡れてなお美しき龍國の華。 ―――――――――――――八竜の家に伝わる古謡より
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