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「神様、どうか僕のお願いを聞いてください…」
少年は毎朝毎晩、ベッドの中でお祈りをした。
「僕のママの病気を治してください。ママを元気にしてください」
少年の母は体が弱く、彼を生んでからは一日のほとんどの時間をベッドの中で過ごしていた。
それでも彼が会いに行くと優しい笑顔で迎えてくれて、時々頭をなでながらおしゃべりをしてくれた。
長くは生きられないと言われていた母にとって、少年は奇跡的に授かった子であり、宝だった。
少年は仕事で家にいない父に代わって、母を慰め励ますのが自分の役目と思い、母の前では笑顔を貫いていた。
そして一人になると毎日神様に祈った。
しかし少年の願いも空しく、母は日に日に弱り、とうとう声も出せないくらいになってしまった。
少年は心配のあまり母のベッドの傍から離れず、食事も満足に取らなくなった。
バラ色だった頬は青白く、かつて宝石を宿していた二つの瞳はその輝きを失っていた。
「ママ、ママお願い。死なないで。僕を置いていかないで」
少年はそのほっそりした手で母の手を取り、何度も何度も話しかけた。
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