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飛び散ったのを顔にかけられた風神は静かに怒っていた。
「うわーすごいや、綺麗な霧状に噴射したね。最悪」
「あー悪い悪い」
雷神がしずくを拭く布を取り出そうとしている間に風神は自力で乾かしてしまった。
「……ごめん」
雷神は静かに呟いた。
「うっせーな。もういいっつーの……どうせ俺は」
と言った風神の言葉を遮るように、
「俺はどんなお前でもカッコいいと思っているから!」
と雷神は叫んだ。
風神は目が点になった。すると我に返った雷神は焦ったようにまくし立て始めた。
「あ、いや、なんつーかさあ、その……俺なんてお前がいなきゃ仕事にならないところあるし、雷なんてうるせーだけだし、うらやましいなーなんて……」
「そんな卑屈になんなよ。逆に言えば俺はお前の雷鳴(サウンド)なんてだせねーもん」
一瞬の沈黙の後、風神は言った。
「まぁ……お互いにないものねだりなんだよな」
「……そうだな」
雷神は曇った表情のまま頷いた。
その時、突然神々しい光の渦が現れた。それは見る見ると形を成していき、鳥のような姿に変わった。
「金烏様のお出ましか。いつみても派手な登場の仕方だよな」
「社長が太陽だからな―……」
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