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その2
気が付くと薄暗い路地を歩いていた。
「ここはどこだ?」
なんでこんなところに俺はいるんだ?今日は妹の大事な手術があるはずなのに。
すると突然携帯が鳴りだした。母親からのようだ。手術中になぜか外に出た俺への呼び出しだろうか、慌てて電話に出る。
「もしもし、ごめん俺……」
「早く戻ってきなさい!あの子の手術成功したのよ!」
思わず泣いてしまった俺と、それにもらい泣きした母親が落ち着いたのは、暫く経ってのことだった。すぐに病院に向かうことを告げ、俺は大通りの方へと駆け出した。
「今回も本当に疲れましたわ」
鳥が思わず不満を口にする。
「今回もなかなか面白い結末になったじゃないか」
少年は上機嫌だ。
「同じ境遇の人の願いを自分が叶えた場合、何を対価に要求するのか。こんな面倒なことして確認するのはもうやめましょうよ、神様」
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