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家主は明日もおいで、と笑う。雀たちは明日もあればいいな、と思った。これはささやかな願い。
次に三羽の雀は子供たちの学校へ飛んでいく。
校庭の花壇に降りると、子供たちがすぐに気づいて駆け寄ってくる。手を伸ばして捕まえようとしてきた。
「そうはいかないよ」
雀たちは笑って子供の相手をしてやった。追い駆けっこ、隠れん坊。それに飽きるとまた別の場所へ向かう。
電線に止まり、三羽は見下ろす。
道路の真ん中に、毛皮の小動物が横たわっていた。ぴくりとも動かないので、息絶えているのだろう。人が乗る車に撥ねられてしまったらしい。ぶんぶん蠅が集まってくる。
息絶えた小動物を狙う鴉もやって来た。
鴉は「ギャア」と脅かす鳴き声を発してきたため、雀たちは急いでその場を離れた。
こうして町を巡っていると、昼はあっと言う間に過ぎて陽が沈む。
三羽の雀たちは疲れて眠くなり、うとうと、ふらふら。体温は徐々に下がっていく。
「お眠の時間よ」
「今日が終わるね」
「光の時間はおしまい」
夕陽の空を飛んで、人の町に別れを告げる。
「さようなら」
三羽の雀は雲間に入り、天に帰った。
雀たちは天からやって来たものたちであった。
「あのね、あのね、神様」
そして雀たちは町で見たこと聞いたことを報告した。
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