お悲鳴様のしきたり

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お悲鳴様のしきたり

城から逃げ出してどれ位たっただろうか。1週間?1ヶ月?またはそれ以上?逃げるのに必死で時間感覚は既になくなっていた。王女と一緒に城から逃げ出した兵士は10人以上いたが、今はたったの1人だけだ。みんな国王の家来に捕まってしまった。おそらくみんな殺されているだろう。覚悟を決めてついて来てくれてはいたが、考えただけで心が痛む。王女はもうすぐで20歳になる。王女の住む国のしきたりはもうすぐだった。それが嫌で逃げ出したのだが、体も心も、もう限界だった。 「王女様、この騒動が終われば一緒にカフェでも開きませんか?」急に兵士が声をかけてきた。 「えっ?」唐突すぎて質問が頭に入ってこなかった。 「昔からの夢だったんです。小さな店でいいんで、自分の好きなコーヒーの店を持って、自分の好きなコーヒーを出して、そして・・・」 兵士はゆっくりと王女様の方を見た。 「自分の好きな人とお店をやりたいんです」 「えっ?」唐突の告白に頭は真っ白に、顔は真っ赤になる。 「な、な、な、何を言い出すの?」初めて告白された王女はどう対応したらいいか、わからなかった。 「だから、絶対この騒動を2人で乗り切りましょう」兵士の顔はとても優しく、この瞬間だけではあるが、幸せを感じる事が出来た。王女は生きる希望と勇気をもらえたのであった。しかし、現実は甘くはなかった。
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