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私は…
満天の星空を眺めながら、
深く大きな溜め息をついた。
「いやぁ、いつ見ても綺麗な星空だなぁ…」
それにしても…
暇だ。
もう…
どれくらい、こうして夜空を見上げながら過ごしているだろうか。
私がこの『神殿』に来てから、もう気が遠くなるような年月が過ぎていた。
私の周りには、様々な妖精たちが、いるにはいる…。
そして時々、私に声をかけてくれるが、
もう彼らとのお喋りには飽き飽きしていた。
口を開けば、いつも同じ話題…。
「神様、ここはいつもいつも夜ですねぇ」
「神様もたまに運動しないと、せっかくのたくましいお体が衰えてしまいますよぉ」
そんな事は…
分かっているよ…。
そう。
私は、神だ。
そして、戦いの神。
いわゆる『軍神』だ。
今、私のシモベたちは、それぞれに下界のあちこちで、様々に暴れ回っている。
私は、天空のこの神殿で彼らからの報告と帰還を待っているのだが…
待てど暮らせど、誰一人として一向にここへ戻って来ない。
「皆、頑張ってくれているのだな…。それにしても、帰りが遅い…」
私は、何度も自ら下界に下りて彼らの活躍ぶりを伺おうとしたのだが、
私がこの神殿を留守にしている間、ここで何か有っては一大事だ。
私は、彼らの帰還を辛抱強く待つしかないのだった。
まあ、神である私には『空腹』というものは無いし、『睡眠』も不要だ。
しかし…
『衰え』や『運動不足』は、有る。
実は最近、面倒でほとんど体を鍛えていない…。
「もしかしたら…
今、自分が久しぶりに誰かと戦えば、意外とあっさり負けてしまうかもしれないな…」
と、少し自嘲気味に笑っているところに…
妖精の一人が飛んできた!
「神様!誰か、この神殿に向かって来ます!」
「おお、そうか!
やっと戻ったか!」
私は、嬉々として玉座から立ち上がった!
見ると…
まさに神々しい光に包まれた鎧兜姿の何者かが、
こちらに向かって天空を駆け上がって来ていた!
しかし…
私には、全く見覚えの無い姿形をしている…。
「はて…。
あの者は、一体、何者だろうか…」
もしかして…人間??
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