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僕は目覚めた。 身体が熱く、火照っている。 これは心理的要因か外的要因かどちらが関わっているかなんて分からない。 だが、どこに僕が横たわっているのかは僕は理解している。 何故昨日まで校庭でサッカーをして楽しく生きていた僕がここに閉じ込められているのかもすべて理解している。 僕は昨日、三年ぶりに会う友人と昔の部活動の思い出話をしながら楽しい時間を過ごしていた。 彼女もできて仕事も慣れてきて人生これからという時にこんな暗くて狭い所に閉じ込められなければいけない僕の不遇な人生を恨む。神め。 だが僕はここから抜け出そうなんてことは思わない。 心なしかこの箱の外から友人や家族の笑い声が聞こえてきた気がする。 これが気のせいなのか現実なのかは僕にはわからない。この状況で笑って話しているなら、あいつらとはもう仲良くできないだろう。 僕は楽しかった今日までの人生を思い出す。親と兄弟と一緒にピクニックをした五歳の頃。初めて恋をした小学五年生。親にひどいことを言った中学二年生、初体験をした高校三年生。今の彼女と出会った去年の秋。車に跳ねられた昨日。 僕の人生は最高だった。どこにでもある平凡な人生かもしれないがそれが一番だと思う。 もちろんここから抜け出してこの人生の続きを演出したいと思う。 まだ遊びたい、彼女に会いたい、友達に会いたい、親に感謝の言葉を伝えたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい! ―だがもう無理なのだ。わかっている。 汗も止まらない。諦め時だろう。 僕はもう寝る。ここでは目を瞑ることが僕のするべきことなのだろう。お似合いだ。 諦めたくないさ。生きたいんだよ。まだまだやりたいことはいっぱいある!何もまだ始まってすらいないんだ! 気分が高揚してしまった。 汗が止まらない。 暑い。暑い。 体が熱い。 熱い。 熱い。 もう、もう無理だ。 もう寝る。おやすみ。さよなら。 僕はこの黒い箱の中でぐっすり寝た。炎に囲まれながら。 意識を失う寸前、友人の声がハッキリと聞こえた。 ―死んでないのに棺桶に入れられるなんてな。笑っちゃうよ。大成功だ。
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