自称神様と俺

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【ーー続きまして今日の天気予報です。今日は午後から本格的な雨がーー…】  八十八夜も過ぎれば梅雨に突入していき、天気予報を常に注意していなければ突然の雨に見舞われる今日この頃。 「あぁぁぁぁじめじめすりゅぅぅー…」  古き良きボロアパート2階の階段から見て一番奥を借りた俺の家で、金髪のガキが湿気による暑さに負けて畳の上でダウンしていた。 「おい坊主ぅ。早くこのあついのをなんとかしろぉー…。」 「いや、無茶言うなよ…。」  畳に張り付いていても井草が吸った水分のせいで余計に肌がべたつくと思うのだが、当の本人は動くことの方が面倒に感じてらしい。 「つかいい加減、見た目が俺よりガキな奴に坊主とか言われたくねぇんだけど…。」  推定身長120センチ、推定体重30キログラム前後、見た目年齢10歳から12歳。  今は開く事さえ億劫なようだが、ぱっちりとした二重瞼の下には吸い込まれるような黒色の瞳が隠れている。  光の具合で銀にも白にもとれる髪はポニーテールにしており、晴れの日は天使の輪っかのようなキューティクルが出来ていたのだが、残念ながら今は湿気のせいでへたっていた。  どこからどう見ても日本人とは思えない容姿と、俳優子役顔負けの中性的で愛らしい顔。  俺が一生関わることはなかっただろう人形のような顔立ちをしたこのガキは、1週間前、俺の目の前に現れて言いのけた。 「うやまえ!わしこそが神であるぞ!」と。
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