自称神様と俺

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「水で我慢しろ。」 「やだやだアイスが食べたいー!暑いから冷たいもので冷やしてほしいー!」  独り身の俺が借りている狭いボロアパートのスペースが更に狭くなってから、思い返せばあっという間に過ぎた1週間だったが、自称神様が神様らしい神様をしている場面を見たことはない。  今だって、ごろりと寝そべったままで手足をばたばたと動かす様は見目を除けばどこからどう見てもただの子供だ。  ただ時折、見た目の年齢にしては理知的な意見やもっともすぎる正論を吐いて驚かされることもしばしばある。  それとも、最近の子供は皆そうなのだろうか?  俺がガキだった頃はもう少し馬鹿な事をしていた記憶しかないのだが、子供らしくない子供が増えている事が果たして喜ばしいことなのか、親がどんな思いで子供を育てるのか知らない俺が口を挟んで良い事ではないのだろう。 「…ぽっきんのやつな。」  だから渋々ながらも言うことを聞いてやるのは、いつかこいつの親が現れた時に面と向かって文句を言うためであって、こいつが神様だと信じているからではない。 「何!?そこはダッツ様で決まってるだろ!?」  神様がアイスに様付けしてんじゃねぇよ。
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