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「……ホウ統さん。此処ってどの辺りなんですかね?暗く為って来たし、そろそろ帰りたいんですけど…」
「うるせー奴だな。もう着いちまったよ」
「えっ?」
大和とホウ統の道の先には門があり、ホウ統はその門を開けると中に入って行く。
「あ、ちょっ!待って下さいよ」
大和はこんな辺鄙な所で一人にされてはたまらないと慌ててホウ統の後を追い門を開けて中に入る。
門を通り抜けると、辺り一面に広がる庭の景色。
大きな池には優雅に魚が泳いでおり、色とりどりの花々が客を出迎える。
「…あれっ?ホウ統さーん!」
大和は見事な庭の景色に見惚れていたが、肝心な事を思い出し姿を探すが、その本人の姿が見当たらない。
「…おやおや、貴殿はどなたかな?」
突然後ろから声を掛けられ大和は思わず「うわっ!!」と声を上げて驚いてしまった。
そして恐る恐る背後を振り返ってみると、人の良さそうな長い白髭を蓄えた老人が杖を持って立っていた。
「あっ。す、すみません!」
「ふぉっふぉっ、よしよし。それで私の家に何用かな?」
「…え、っと。ホウ統…さんに連れて来られたんですけど……行き先については何も聞かされていなくて…はい」
「ふぉっふぉっ…そうかそうか、では名乗っとこぅ。私は‘司馬徽’――‘水鏡’と呼んで欲しいのぅ」
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