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「……」
「ふぉっふぉっ。どうかしたのかの?」
大和は何か違和感を懐いた。
目が覚めてから出会った二人の人物とも、何処かおかしい…姿はともかくとして、何か変だと思い始める。
「あの、しば――…水鏡さん」
「何かのぅ?」
「…今は何年ですか?」
大和はこの時、聞くべきではなかったのかも知れない。何も心構えをしていなかったのだから。
しかし遅かれ早かれ、それはいずれ必ず分かってしまう事だった。
「ふぉっふぉっ…変な質問をするのぅ?――今は勿論…ひぃふぅ……‘中平元年”じゃよ?」
「……此処は、何処ですか…?」
「…ふぉっふぉっ。此処は何処とは…‘漢”の国の‘荊州”に決まっておろう?」
「……」
大和は目を瞑った。
頭の中が真っ白になったからだ。…何も考えられない、喉の奥に何かが詰まっている様な感じがし、言葉も発せなかった。
「…え、あ……そ、そうですか………」
そしてやっと捻り出した言葉は、単純な上の空の相槌。
「面白い反応をする子じゃのぅ」
「あ、居た!…師匠!!」
そこで駆け寄って来る一人の青年―――勿論ホウ統である。
ホウ統は大和と水鏡の方に足早に駆け寄って来る。
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