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そして二人の立つ傍で足を止めると、ホウ統は敬意を込め水鏡に向かって頭を下げた。
「おひさしぶりっす」
「ふぉっふぉっ。久しぶりじゃのう、士元。どれ、お茶でも飲んで行きなさい」
頭を下げたホウ統のその頭を撫でて笑みを浮かべる。
ホウ統は照れくさそうに頭を上げると、サングラスを外した。
「ごちそうになります。ってそうだ、聞いて下さいよ師匠。このガキ‘例の山”で拾ったんですよ」
「……ほう。…為るほどのう」
「?」
大和は話しに入れず一人呆けて首を傾げる。水鏡はホウ統の話しを聞いた後、何やら興味深げに大和の方に顔を向けた。
「…どれ、二人とも家に入りなさい。詳しい話しは茶でも飲みながら聞くとしよう」
「はい」
「……?」
そして二人は水鏡の後に付いて行き、家の玄関から中に入ると廊下を通って小さな畳の部屋へと通された。
全く飾り気のない部屋は物寂しいものではあるが落ち着いた雰囲気を感じさせる造りになっている。
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