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それは、自分を特別扱いしない対等な存在。
目下の者達でさえそれは居ると云うのに、何故自分には居ないのだろう…。
日を追うごとに少女のその想いは強くなっていく。
やがてその少女の過酷な人生が始まった。
天涯孤独になってしまった少女に周りの大人達はどこか頼りなさそうな、それとは別にどこか落胆していた。
「あのような方で大丈夫なのか?」
「ダメならダメで考えるしかあるまい」
本人達からすればそれらの会話は影で行われていたが、少女からすれば露骨に見えた。
誰一人として味方などいない。
隙を見せれば自分の今の地位などあっという間に崩れ去ってしまう。
だが、もはや地位などどうでもよかった。
(誰かにいて欲しい……)
対等な友達でも絶対的な信頼が持てる臣下でもいい。
ただこの暗い孤独の中から助け出して欲しい。
(私だけの味方……)
そう思う彼女は自分の願いを誰にも知られないように秘密にした。
そしてある夜。
よく晴れたその日は夜空に無数の星々がその輝きを少女に見せていた。
「どうか…私の御願いが、叶いますように……」
祈るように両手を合わせる少女。
夜空の星々はそんな彼女の願いに答えるかのように、一筋の光がいくつも地平線へと落ちていった。
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