92人が本棚に入れています
本棚に追加
※
そこは中原の地から遠く離れた幽州の大地。
異民族と国境を接するこの地域は中原と比べると開発はあまり進んでおらず、貧しい者達が多かったが皆それなりに慎ましくも平和な日々を送っていた。
そんな中、幽州の北にある楼桑村では多くの血が流されていた。
「ひゃはははっ。盗め、犯せ、殺せー!!」
「ぎゃはははっ!」
「た、たすけ…
「いやー!」
大地は血に染まり助けを求める人々は無念にも横たわり、女達は下卑な笑みをぶら下げている者達に弄ばれていた。
それを馬上から楽しそうに見つめる耳の長い男、狂った様な眼つきに醜悪な面構え。身体には無数の切り傷が隠れ見えている。
その背後には二人の少女が同じく馬上から惨たらしい光景を見せつけられていた。
一人は唇を噛みしめ過ぎて血が滲んでおり、殺気交じりの視線を男に向けている。
もう一人は俯き、必死に感情を押し殺していた。
「…あ、主。もう、宜しいのでは……」
少女の一人が男の背に言う。が、男は振り返ると馬鹿にした様に少女を見る。
「なんだなんだぁ?関羽よー。何時も言ってんだろ、俺は金が必要だってよ。いずれ官職につくには莫大な金が必要不可欠だしな!」
最初のコメントを投稿しよう!