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「っ!!」
「ひゃっはは。んだその目はよ、関羽?俺が憎いのか?――何だったら殺して良いんだぜ、殺せるもんだったらよ」
「………」
殺せる訳がない事を知っていてあえて男は少女を挑発する。少女は肩を震わせ片手に持つ龍の装飾の施された槍を持つ手に力を込めていた。
「お義姉ちゃん…」
「……分かってる。手は出さない」
少女達は必死に感情を噛み殺す、男に憎悪の念を抱きながら。男はそんな二人の気持ちを逆撫でする様に、下卑に笑いながら虐殺陵辱をしている手下達を煽り立てていた。
『……』
「…!?」
それに最初に気付いたのは関羽、と呼ばれていた少女であった。
背筋が凍る程の殺気を感じた彼女は後ろを振り返るが、雑木林がうっそうと覆い茂っており何も捉える事は出来なかった。
そして隣にいた張飛と呼ばれていた少女も直後にその殺気に気付いたのか、関羽と同じ方向に視線を移す。
『…穿つ、故に我あり』
「あん?んだてめぇ?」
男の手下の一人もその者の存在に気付いた。
総面(顔を守る防具)を被り表情を窺い知れぬ黒衣に身を包んだ謎の者。
手には妖しく光る鋭利な剣。
「はっは。んだその馬鹿みてーな格好はよ。死ね!」
手下はその者に持っていた得物で斬り付けようとした、が。
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