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「い、いいか!良く聞きやがれ!!お、俺はな、中山靖王劉勝の末裔のりゅう―――『どうでもよい』
「「!?」」
震える声で男は虚勢を張ろうとしたが総面を被った者は飛び上がると、うっとおしそうに馬に跨がる男の首を刎ねた。
そして着地をすると持っていた剣を振るい、こびり付いた血を地に落とす。
「…誰だか知らぬが、生きて返す訳には行かない!」
「お義姉ちゃん!?…私も」
関羽と呼ばれていた方の少女は男が殺された直後我に返ると、張飛と呼ばれていた少女も気を取り直し、二人は巧みに馬を操りながらその者を左右から取り囲んだ、一切油断をせずに。
『…もう良い。お主等の義母、村の者共は無事に逃がした』
「…えっ?」
「ど、どうしてそれを…」
戸惑うばかりの二人。
しかしその者は二人の問いに答える素振りはなく、唐突に西の夕暮れの空を指差した。
『…時期が来たら都へ向かうがよい。お主等の進むべき道が見えよう』
「…まて、お前の言う事を全て信じろと?――…名は何と言うんだ?」
関羽はその者の言う事に疑い半分だった。それも当然、名前も知らぬような者の言う事を信じろ。と言う方が無理がある。
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