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「…はぁ、はぁ……」
ホウ統の先導のもと、二人は山道を下り広い草原地帯の砂利道をひたすら歩いていた。
すたすたとホウ統は平然と進んで行くが、大和は疲れて歩みが少し遅く為りホウ統に付いて行くので精一杯である。
しかしホウ統は時折後ろを振り返り大和に喝を飛ばすだけで、歩調を落とす様な素振りは見せない。
「ったく。おせーぞ、大和!」
飲まず食わずで歩き続け、日が沈み始め辺りが薄暗くなり始めた頃に、ホウ統はようやく足を止めた。
「ちょ、早すぎですよ…はぁはぁ……バスとかで行けば早かったんじゃないですか?…あれっ?そう言えば、車とか全然見かけないな…」
大和は不思議に思った。ずっと歩き続けていたが車を一台も見かけなかった上に人ともすれ違わなかったし、電柱なども何一つ見かけなかった。
云わば文明の形跡の欠片も見当たらないのだ。
「あん?何、意味不明な事ぶつぶつ言ってんだ?」
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