5月6日 朝

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 ワタシは朝の陽ざしが眩しいので手を仰ぐようにして顔に影を作る。それでも光は手の間からワタシの目に射す。目をしかめながらおはようと心の中で言い、朝食を作る。  ワタシは妻子持ちで毎日妻が食卓を鮮やかに彩っていたのだが、今は自分で作っている。ワタシは朝はガッツリ食べる派なので4品くらい作るのだがどれも不格好に終わった。妻の偉大さを思い知らされる。だがこれでも少しは上達したほうなのだ。  実を言うと先日妻と喧嘩をしてしまって、今は同じ家の中でも顔を合わせれない状況になっている。奥の部屋に4歳の娘を連れてじっとしているようだ。毎日同じ部屋でじっとしているのだろうけど心配だ。これが長く続くようなら無理やりにでもこじ開けるほうがいいのでは? いや、もしかしたらそれは逆効果になるかもしれない。そっとしておこう。  ワタシは妻と娘のために作った出来損ないの朝ご飯を置いて一言言い、仕事のために家を出た。
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