5月3日 深夜

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 日はまたぎ午前02:00。仕事の帰りに24時間営業のホームセンターに寄った。  前に娘が木のブロックで家を組み立ててほしいと言っていたことを思い出した。いつもは妻にべったりで私にはあまり懐いていない娘だが可愛いところもあるようだ。  わたシは眠い目を擦りながら家を作るために必要な道具を探す。  家を作るなら必要なのは金槌だろう。あとはノコギリかな。これがアレば立派な家を組み立てれるし、きっと娘も私を見直して少しは懐いてくれるかもしれない。  わたしはやや大きめの金槌と、よく切れそうなノコギリを手に持ちレジに向かった。  その時私の目にバーベキューセットが目に入った。それを見たワタしは良いことに気づく。  そうだ。会社の人とバーベキューをやろう。ゴールデンウィークの疲れを癒せるし、今の少しピリピリした雰囲気も和むはずだ。同期の2人も皆が一生懸命仕事をしている中休んでいたという負い目もこれでごまかせるはずだ。  そう思いバーベキューセットも手に取りレジに向かった。  レジにはまだ20代くらいの青年が眠そうな顔を叩き、そう見えないようにして立っていた。「こんばんはいらっしゃいませ。お客さん、こんな夜中からもしかしてバーベキューですか?」  青年は軽い感じで話しかけてきた。いえいえ、と私は返事をする。 「お客さん大丈夫ですか? とても顔色悪いですよ? 気分が悪いんでしたら少し休んでいきます?」  どうやら私はここ最近の疲れで酷い顔をしていたらしい。それもそのはず。仕事と家庭。この二つの板挟みにされて生活しているのだ。心と体が休まる時は少ない。  しかし私はレジの青年に誘いを断った。  なぜならその疲れもふっとぶくらいに娘との家つくりと会社でのバーベキューが楽しみで仕方がないからだ。
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