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結局、ワタシの思い通りにはならず喧嘩になってしまい、妻と娘は奥の部屋に閉じこもってしまった。
ものすごい言い合いになり、それは真夜中まで続いた。
夜だというのにお互い声を張り上げて言葉をぶつけ合った。娘はその間で耳を塞いで震えていた。とても怖がっていた。あまりこういう姿は子どもに見せてはいけないのだろうけど。ワタシ達は親失格だ。
それからは一人で家事をするようにしているのだがここで一つ問題が起きた。
それは料理。
ワタシは今まで料理をしたことがないのだ。だが今は作ってくれる人はいないのでやむを得ず自分で作ってみたのだが、出来は最悪。とても食べ物と言えるモノではない。妻が見たらきっとあざ笑うのだろう。
だが悪いことだけ起きたわけではない。もちろんいいこともあった。
先日、会社でバーベキューをしたのだがそれがもう大成功。黄色い声を挙げて喜ぶ人もいたくらいだ。今では会社の雰囲気はとても改善され、それぞれ落ち着いて静かに仕事をしている。
そう物思いにふけながらワタシは不格好な朝食を食卓に置き、テレビを付けた。
テレビでは朝のニュースがやっていた。
「先日のビルの放火事件で――」
ビルが放火された事件が取り扱われていた。なんと驚くことにワタシの勤める会社と同じ、個人情報を取り扱っている会社らしい。
ニュースでは、個人情報を盗み出そうとしてか、殺人を目的にした放火だと伝えられている。何故なら事件が起きた時間が夕方だからだ。まだ会社員が多くいたため、死者が多く出てしまったらしい。物騒なこともあるものだ。ワタシも気を付けなければ。
そういえば朗報なのだが今の仕事量を元に、上司に褒められて外回りが多くなった。
あまり外回りで何かをする仕事ではないのだが、会社にすし詰めだったから気分転換にということではないだろうか。とても気が利くいい上司だ。いつの間にか黒く焼けた肌が似合っているよ。
さて、そろそろ時間だ。
ワタシはカバンを手に取り仕事向かうのだった。
行ってきます。そう残して。
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