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二年三組のクラスには、神様がいる。
仁野暁。
通称、神様。
別に異世界から来たのでも超能力の持ち主でもない。あだ名なんて馬鹿みたいだと思うが、学年では有名なので、大体みんな神様と呼んでいた。
なぜ有名か。あれだ。いわゆるオタク、だ。
今時珍しい、星のオタク。今も大判の本を前に夢中だ。
「なあ、おい。神様」
「……」
「おいってば」
「……」
仁野はピクリとも動かない。聞こえてないなぁ、とあかりはため息を吐く。無視したのではなく、本当に耳に――要は頭の中に入らない。仁野の脳内は星でいっぱいだ。結果は同じだけど。
で、どうなるかというと。
工藤の目が、今度はあかりをにらんだ。
「ちょっと何とかしろよ、御使い」
「……違うし」
「なんでもいーよ。だったら下僕か?」
それがものを頼む態度か! と言えるものなら言っている。けれど、工藤に邪険にされると同調する人間が数人いるのは目に見えているので、逆らわずに仁野の机を軽く叩いてから本と目の間に、手を入れて振った。
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