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しびれを切らした工藤が、教壇から降りてきて仁野から本を奪った。
「真面目に参加しろよお前! ……って、もう一冊出すな!」
格闘して再度取り上げた一冊、に気を取られているうちに、元の一冊を取り戻される。あーらら、と即席コントに、クラスが吹いた。
「笑うなっ」
「ていうか工藤、ホントにプラネタリウムやるの? 地味じゃね?」
「いんだよ地味でも。とにかく企画は今日中に再提出だ。三塚!」
クラスの男子に茶化されて、工藤がすごく適当な返事をした。だったら仁野を巻き込まなくていいんじゃ、とあかりは思うが……。
「じゃあ……ほら、プラネタで新星発見するのはどう?」
「はあ!? お前なに言って」
「乗った」
ぱたん、と本を閉じた仁野に、マジかよ!? と工藤が驚く。
マジなんですよ、とそっとあかりは同意する。
だって、それは仁野の夢だから。
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