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302号室
病院では命のやり取りが日常的によくあることだ、助かるもの、死ぬもの、産まれるもの
その割にここの病院は明るく、暗闇と無縁に思ってしまう。
綾子は陰気な暗闇などでないと考えていた、、
そう、302号室に来るまでは、、
「失礼します。香夏子さん、お体どうですか?」
明るく綾子が声をかける。
部屋を置くのベッドの上にうごめく影が見えた。
「あ、、うぅぅぅ、」
ベッドの上にはうずくまる香夏子がいた、
香夏子は天井を見つめ、10本の指を口にいれしゃぶりながらタラタラと両手に粘ついたヨダレを流している。
綾子は少し気味わるくなったが、怪我のせいだと思い、気分を変え言った。
「血液検査しますから、腕だしてもらってもいいですか?」
香夏子の頭は包帯でグルグル巻きにされ包帯の小さな隙間から赤黒く焼けた目で綾子を凝視した。
「イイナぁあなたのかめんキレイでいいな」
綾子は赤黒く焼けた目と包帯の隙間から滲み出る血と血小板が混じりあった液体を見て恐怖を感じた。本気で顔を剥がれるおではないかと、、
「顔の事ですか?あ、ありがとうございます」
「いいなそのかめんわたしにちょうだいねぇいいでしょちょうだい」
「そうですね、あげれたらいいんですけどね」
綾子は恐怖を感じこの場を早く去ることだけを考えてしまった。
「ほんと?うれしい、ありがとう」
「し、失礼しました」
綾子は302号室をでた、
「ねぇ聞いた?綾子先輩今日も欠勤だって」
「どうしたのかしら?」
「噂なんだけど、香夏子さんに仮面上げるっていっちゃたみたいで、それから来てないのよ」
「ええ、いっちゃたの?」
「そうなのよ、それから来てないらしいのよ」
「ええ、怖い、本当に顔を取られたんじゃない?」
「そう思うでしょ、しかも包帯巻いたまま、退院するんだって」
「本当に?綾子先輩には悪いけど、退院してもらえるなら良かったは」
「運転手さん、駅までお願いします」
「かしこまりました」
「ふふ、気になるんでしょ?包帯巻いたままなのが」
「す、すみません。わかりやすかったですか」
「ええ、でも気にしないで、今取ってあげる」
香夏子は顔の包帯をとった
「どうかしら?」
「びっくりしましたよ、すごくお綺麗じゃないですか、」
「ふふふ、ありがとう」
タクシーは駅向かった
「綾子さん、ありがとう、あなたの綺麗な仮面今度は大事にするわ」
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