花咲病

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雨が降った日、最も古くからの友人が死んだ。 私はいつかこうなると分かっていながら、それを覚悟しきれずにいた。 友人は「花咲病」を患っていた。 「花咲病」は突然変異した植物の種子が引き起こす疾患で、それは体内に寄生し、宿主の身体を内側から食いつぶしていく。 根は内臓に細かく食い込み、侵食が複数の臓器に及ぶと治療は困難になる。 友人の診断がついてから2年余りが経ったが、医者に言わせればよく保った方だという。 「花咲病」は雨の日に進行する。 植物としての性質がそうさせるのか、または別の要因があるのか、正確なところは分からなかった。 ただ、だから私は雨が大嫌いだった。
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