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最初の内、「え、超太ってる子いるんだけど」「チアに向いてなくない?」と言っていた子や南部長以外にもひそひそ話していた先輩もいたけど、意外な実力の真紀を今ではみな見直している。
それもその筈、毎日ある練習に加え、あたしの家で特訓しているのだ。
あたしの家に着いて即振付の確認、ひたすら踊った後はシャワーを浴びて筋トレとストレッチというスケジュール。
提案したのは真紀本人だ。学校から近い綾の家を使わせてほしいと頼まれ「構わないけど、なんで今からそんなにがんばろうとしてるの?」と聞いてみた。
学内とはいえ初めての発表だしがんばるのは良い事だけど、普段の練習だけでもキツいのに。真紀はうつむいて小声で言った。
「私、綾とか他の人と違ってスポーツの経験ないし、それに…ただでさえ太ってて迷惑かけちゃうから」
自虐的に微笑む真紀にあたしは慌てた。
「チア部の入部規定に体重制限とか見た目の審査とかないじゃん」
「うん…でもやっぱり初心者の上にデブはまずいよ。足引っ張りたくないし、ダイエットも兼ねて努力しようって思って」
「真紀…」
相変わらず自分に厳しい。
「部屋とシャワー使わせてもらえたら助かるんだけど、迷惑かな…」
「全然貸すよ。一緒にがんばろ!」
迷惑どころかむしろ真近で見習いたいぐらいだ。
快諾した日から真紀は毎日家に来て特訓している。
学校での練習でヘトヘトのあたしを横にぽっちゃりした見た目に似合わないキレのある動きで踊り、振付はほぼ完璧だ。念入りにやっているストレッチは運動部のあたしよりも脚が開くようになった。
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