第二章 原因

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「隣いい?」 前の授業について喋りながら食べていると、混み始めてきた食堂内でも一際目立つ人影に声をかけられた。 すらりとした姿勢を保ったまま、南部長が返事を待たずにあたしの隣にトレーを置く。 「お疲れ様です」 「あれぇ?お昼お弁当なんだ。ここの学食おいしいって評判なのに」 怯えながらも挨拶した真紀を無視して部長は斜め前に身を乗り出し、真紀のお弁当を覗きこんだ。 「しかもほとんど野菜ばっかじゃん。もしかしてダイエットぉ?意味ないと思うけど」 「ちょっと…」 真紀が(うつむ)くのを見たあたしは立ち上がった。本人が気にしてる事をそんな風に言うのは良くない(はず)だ。 「先輩が知らないだけで、真紀は部活のために人一倍努力してます!見た目を変えるのだって努力の一つじゃないですか。意味ないなんて決めつけないで下さい」 小柄な部長を見下ろす。 「そぉ?絶対意味ないでしょ、そんなの飲んでんだから」 南部長は小さな顎で真紀の手元を示した。小さなお弁当箱の横に大きなタンブラー。 真紀が更に(うつむ)く。
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