第一章 入部

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「部長の(みなみ)理沙(りさ)。あんた達、本当にチア部に入る気なの?」 つっけんどんに名乗った。さっきの演技でも一番上手くて目立っていた人だ。 尖った目でこちらを睨んで言い放つ。 「チア部っていっても、うちはチアリーディングも混ぜた動きがウリで、アクロバットもあるのよ。どうせオーキャンの発表で可愛いかも~!とか思ったんだろうけど、結構キツいと思うけど?」 「あ、アクロバット以外のパートもあるよ。うちのチア部は経験者が多くて人気もあるから勧誘もやってないの。ちょっと敷居が高いっていうか…。部長も幼稚園の頃から新体操をやってるんだよ」 辻先輩が補足する。 「長谷部って子はまだいいわ。背高いし、運動神経良さそうだし。けどそっちの子は…」 南先輩は尖った目を真紀に向けた。丸い肩をびくっと縮こまらせる真紀。 真紀は一目見てわかるくらい太っている。おまんじゅうみたいで可愛いと私は思っているんだけど、本人はいつも気にしている。 ここに来る途中も「太ってる人がやるものじゃないよね…」「デブは入るなって言われたらどうしよう…」と呟いていた。
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