第一章 入部

5/6

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「アクロバットは絶対に出来ないだろうし他も無理でしょ?やめといたら?」 冷たく言い放つ南部長。 「すみません。でも…」 言い返す真紀だけど、蚊の鳴くような声だ。 「待って下さい。真紀は大人しそうに見えるけどがんばり屋で根性ある子なんです」 あたしは南部長の前に立ちはだかってまくし立てた。 「私小学一年生からの友達なんですけど、真紀、苦手な計算のテストの前に猛勉強して百点満点とったりとか、リレーのアンカー押しつけられた時、放課後ずっと走りこみして二位のバトンを繋いだ事だってあるんです。運動部の経験はないけど、陸上部のあたしでも目を見張るような努力をして結果を出す子なんです。入っちゃ駄目ですか?」 事実だ。計算テストやリレーだけじゃない。 人見知りだけど自分から人に親切にしに行くし、押しつけられた係や苦手な作業も文句を言わず絶対途中で投げ出さない。 オーキャンの後も「憧れるけど、私太ってるし…」と尻込みするのを「真面目で忍耐力のある真紀こそ入るべきだって!」と私が熱心に言い聞かせ、決意を固めて受験したのだ。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加