第二章 原因

2/10
前へ
/42ページ
次へ
本格的な練習が始まって二週間が経った。 「沢村ちゃん、思ったよりやるじゃん」 柔軟中声をかけて来た辻先輩にあたしは「へへ」と自分がほめられたように照れ笑いした。 チア部の活動内容は運動部の応援の他、定期的に行う学内発表がある。 志陽(しよう)高校の運動部でずば抜けて強いのは野球部で、そのプレーと同じぐらいチア部の演技も注目されるらしい。 今月すぐの大会応援に出られるのは前から練習していた先輩達。新一年生はゴールデンウィークが明けたら行われる学内発表がお披露目の場となるので、それに向けての練習だ。 少し離れたところで柔軟している真紀の周りに人が集まっている。 「すごーい、柔らかい!」 「運動部未経験ってマジ?」 完璧な開脚に胸まで床につきそうな前屈。 取り囲んだ中から一人の同級生が駆け寄って来た。 「沢村さん、結構すごいんだね。見た目で色々言っちゃってごめんね」 あたしは「でしょ」と胸を張る。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加